リバースエンジニアリングの役割

パーツの再生

リバースエンジニアリングで失われたパーツを復元することも。

同性能の新品を独自に作ったりカスタマイズしてパワーアップさせた部品を得る 以外にも、リバースエンジニアリングは良い仕事をしてくれます。 それは部品の再生で、磨耗した箇所を修復したり生産中止になって手に入らない パーツを蘇らせる、まるで錬金術のような所業です。 長年使われる部品の中でも特に接触する時間が多い部分は、そこだけが著しく磨耗 してあっという間に寿命がやってきます。 芯はまだしっかりしてるけど交換しなければいけない、もったいないけどこれは 仕方のないことでそのままではまともな製品を製造できないので素直に部品を 取り替える段取りをつけることになります。 そこで新品を購入して交換するのが普通の考え方ですが、リバースエンジニアリング ではその部品がどうやって成り立っているのかを知ることで最小限の修復作業で 元通りの性能を蘇らすことを可能にしてくれます。 磨り減った箇所だけを再生するので新品で購入するよりも安く少ない経費で製品 を生産することができるため、このメリットを知っている人と知らない人では収益に 大きな差が発生しそうですね。 具体的な再生方法はセラミック溶射などで磨耗した部分を肉盛りし、そこから形状を 元通りに戻していく作業になります。 研磨して新品同様のサイズに復旧すれば新たに購入せずともオッケーになります。 表面処理加工の仕上がり具合で性能が左右しますので、リバースエンジニアリング の手順を無視して適当に盛って磨いただけではきっと役立たずになりますが、 正式な手順で行えばほぼ完璧に失われた箇所を修復することができるでしょう。 そればかりか上手にやれば当初の性能を上回る仕上がりも期待ができるので、 相当お得な手法になるのです。 単純にコピーしたり再生するだけがリバースエンジニアリングではないことは これまでも説明してきましたが、磨耗した部分を修理するのにも応用してパワー アップさせることが出来てしまう、なんとも素晴らしい技術です。 修復時にちょちょいとコーティングしておけば次回のメンテナンスまでの期間が 長引きますので、整備担当者や経理担当者の喜ぶ顔を観察して悦に浸れます。 またこのテクニックは新品を購入するか修理して再生するかを迷った場合でなくとも 取り上げられることがあります。 それはその部品が生産中止になってしまい新品がどこにも売っていない場合です。 工場で稼動している大きなマシーンは2~3年のサイクルで買い換えられるような ことはなく、長いものだと10年20年と働き続けます。 なので工場に設置されてしばらくの間は部品交換する気になれば簡単にスペアパーツ を取り寄せられますが、古い機械ほどそれが困難になってしまいます。 製造メーカーが生産を止めたら、あるいはそのメーカーがなくなってしまったら 残されたわずかな在庫しかこの世には存在せず、それもやがて尽きて入手困難な レアアイテムになってしまうのです。 限定品や生産中止されたものの入手方法には中古品を専門に扱う買取店や ネットオークションが有名ですが、ブランド品のアクセサリーや腕時計、掛け時計、 フィギュアならともかく工場用の大型マシーンに使われるシャフトなんかは出品 されたり持ち込まれることも滅多にないので、その方面で発見することは砂漠で 黄色いきな粉を見つける位難しいでしょう。 今ある部品が壊れたらもうどうしようもない、途方に暮れるしか残された手はない というのが工員の一応の共通認識です。 それを覆せるのがリバースエンジニアリングで、もう製造されていない古い部品 でも図面をおこして自分達のためだけに製作してくれるのです。 このおかげで数億円する機械の寿命が延びると考えると、とてつもなく大きな 価値を見出すことができそうです。