リバースエンジニアリングとは

部品から図面へと
リバースさせることをいいます。

未来的なロボット

部品や製品を製作する場合、通常では図面をもとにして各部品を工場で製作します。
工場だけではなく自宅で内職として物作りをすることもありますが、基本は設計図 などを見てそこから完成品を生産することになるでしょう。ですがリバースエンジニアリングはその過程を逆に辿っており、各部品やパーツから 図面を製作して同じ部品を製作します。図面がなければその部品を生産できない、でも実物があるからそれを元に図面を作ってしまおう、という流れになっています。通常の工程とは真逆なのでリバースと付くのです。なぜそうするのか、その理由はいろいろとありますが対象となるパーツを新たに入手するのにリバースエンジニアリングという手段が有効なケースが多いからです。
また部品を生産するためだけでなく、他社の技術を参考にして自社製品に活かすために解析することもリバースエンジニアリングと呼ばれます。
市場調査して売れてる商品を購入し、人気の秘密を探るのも立派なリバース エンジニアリングですし、その製品はあらゆるジャンルが対象になるでしょう。ライバル社のとっても人気のお菓子があるからコンビニで5つほど買って来て、3時の会議にお茶を用意してみんなで試食して意見を言い合う、もし参考になる部分 があったら積極的にわが社の商品に取り入れてこれに負けないくらいのヒット商品 を開発しよう、というのもリバースエンジニアリングになります。
お菓子メーカーの開発者ならどういったものが売れ筋なのか知っておかなければ、競合するメーカーに太刀打ちすることができないのでこうした試食会はとても重要な意味を持っていますが、似たようなことはリバースエンジニアリングと意識しないまま実践している方もいるのではないでしょうか。
ちょっと参考に、偵察に、という行動が結構当てはまっているケースもあるので、金型や部品の製造でしかあまり使われないリバースエンジニアリングですが飲食関連の仕事をしている人でも気付かないうちにやっていそうです。
券売機で食券を買ってから注文するがっつり系のラーメン屋の大将が、先週近所にオープンした同じく食券で注文する、その際麺の固さや背油の量もカスタム可能なラーメン屋に様子を伺いに一般客のふりをしてお昼ゴハンを食べに行くのも、偵察と言えますしリバースエンジニアリングと呼べる行動でしょう。
またスポーツクラブの経営者が会員を増やすため、他所のジムに入会してどんな施設があるか、自分の所にはない人気のコースは何があるかなどを調査するのもリバースエンジニアリングです。
このようにサービス業でも有効なリバースエンジニアリングですが、やはり一番それっぽいのは皆さんもイメージしやすい製造業かもしれません。この高性能のシャフト部品はどうやって作られているのか、耐久性能に優れたネジはどんな素材を使っているのか、そうしたことを解析して自社製品にも取り入れることが一般的なリバースエンジニアリング像だと思われます。
もちろん個別のパーツだけではなく炊飯器のような完成した製品に対して行われることもあり、真似しようとしているメーカーの人間の手によって分解された炊飯器 の数は10や20では全然足りないと予想されます。そしてそれを好ましく思わないのなら、優秀な炊飯器メーカー側は簡単に解析できないような技術を開発したり稚拙な技術力では真似できないような先端技術を注ぎ込んで、コピー商品に対抗しているのです。ある程度は特許により守られてはいますしルールを破ってまでコピーする企業は日本国内にはそうないでしょうが、許される範囲内で他社製品を解析して参考にするリバースエンジニアリングは、お金と労力をつぎ込むだけの意味を持つ行為です。そしてこれがあるから製造業の技術やサービス業も発展してきたと言えるでしょう。こうした競争によりユーザーもコストダウンという形で恩恵を受けられます。